断熱材の性能や気密性能をいくら上げても、その熱の大半は窓から出入りしてしまいます。
冬場は、窓から外の温度が伝わり、室内の暖かい空気が窓で冷やされて足元に流れ込むコールドドラフト現象を引き起こし、結露が発生し、カビの原因となってしまします。
せっかく高性能な断熱材を使用しても、窓からどんどん熱が逃げてしまっては意味がありません。
アルミの熱伝導率は、210W/mK
PVC(樹脂)の熱伝導率は、0.17W/mK
木材の熱伝導率は、0.12W/mK
この数値を見てもわかるように、アルミの熱伝導率は樹脂の1200倍。
上の表でも示す通り、アルミサッシから樹脂サッシから樹脂サッシにするだけで、サッシのUw値は1/3以下になります。
樹脂サッシでトリプルガラスにしても、やはり壁の熱貫流率にはかないませんが、家全体の外皮平均値が少しでも上がらないようにする必要があります。
ただし、窓の性能は建築コストに即影響してきますので、バランスを考えながら計画しなければなりません。
現在ドイツで販売されている窓の断熱性能には最低基準があり、U値1.0W/㎡K以下のものでなければ人が住むところに取り付けることはできません。
一方日本の窓には、断熱性能に関して、最低基準はありません。
そのため大半の新築住宅で使用されている窓のU値は、4.65W/㎡K(アルミサッシペアガラス6.0㎜)であり、およそドイツの1/4~1/5しか断熱性能がない窓が使用されています。
ドイツのサッシはもちろんいいが、国産樹脂サッシの老舗でもあるエクセルシャノンも性能では劣っていません。
熱貫流率(Uw値)0.8W/㎡Kの樹脂サッシで、なんとダブルLow‐Eトリプルガラス、クリプトンガス入りの高性能サッシがあります。
さらに、樹脂の空気層に発泡ウレタンを充填したUFシリーズは、Uw値がなんと0.73W/㎡K。
こんなサッシは高価で使えませんが、メーカーの心意気を感じます。
YKKapがAPW430という、Uw値0.91W/㎡Kと、全くの新設計の樹脂サッシを生み出しました。
サッシ枠の性能が木製サッシ並みで、大きなトリプルがらしをしっかりと支える大きなフレームが印象的な高性能サッシです。
APW430にも空気層に断熱材を充填した高性能サッシ APW430Krがあり、このUw値も0.78W/㎡Kとお互い切磋琢磨しながら成長がうかがえる。
あとは価格競争になっていくだろう。
上の表は年間の冷暖房費を比較したものですが、サッシを変えるだけで年間約20,000円の節約になっています。
35年間このまま電気代が上がらなかったとしても、700,000円も違ってきます。
この数値も、新築時に窓の性能を決定するための大きな要因になるかもしれません。
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