「高気密・高断熱住宅ってどんな住宅ですか?」
この質問に対して、だれからも的を得た答えは返ってきません。住宅メーカーの営業マンにしても、ただ単に「うちの家はQ値が1.0です」とか「C値が0.8です」とかそんな言葉しか返ってきません。
工務店の社長さんなんかは、「本当に高気密住宅なんかでいいんですか~?」
と言った質問をされるときもあります。
中には、
「高断熱はいいが、高気密はやめたほうがいい」
「家は魔法瓶みたいな家より多少は隙間風が入るくらいがちょうどいい」
「高気密は空気がよどんで息苦しい」
このような営業トークを使う方もいまだに少なくありません。
そもそも高気密・高断熱住宅というのは、どのようなレベルのものを指すのでしょうか。
実は、法的な定義は特にないのが現状です。
従って、どのレベルが高気密で、どのレベルが中気密なのかを答えられる人は誰もいません。
要するに、世間一般的にこれぐらいが高気密なんだろうという程度の認識でしかありません。
さらに、法的根拠がないために、ニセ高気密・高断熱住宅も登場することにもなってしまいました。
一般的に高気密住宅とは、家の室内側に気密シートを張巡らせて、室内の空気が外に漏れないように施工されたものだと思っていませんか。
もしこれだけの知識しかない住宅会社が高気密住宅を施工したら、3年もしないうちに、壁の中がカビだらけになって、湿気で大切な構造材までも腐らせてしまいます。
これは、壁の中を動く空気のコントロールを忘れたことが原因でおこる、致命的は欠陥です。
壁の中の空気は、基本的に密閉空気層でなければなりません。
しかしながら、気流止めを怠ることで、いくら分厚い断熱材を壁に充填しても、「寒い家」になってしまいます。
おまけに、健康のために「温度バリアフリー」をうたっていても、壁の中がカビだらけでは、本末転倒になってしまいます。
要するに、高気密・高断熱住宅というのは、単に分厚い断熱材を使用したり、気密シートをベタベタ張巡らせた住宅ではなく、家の室内はもちろんのこと、壁の中の、気流や湿度が適正にコントロールされてはじめて一人前といえるでしょう。
※岩手県の木の香の家さんのHPに素晴らしい資料がありましたので、抜粋してみました。
C値(隙間相当面積)
住宅の性能で、このC値もよく出てきます。
これは、床面積1㎡あたりの見えない隙間のことです。
例えば、延べ床面積40坪(132㎡)の住宅を気密測定し、「隙間相当面積1㎠/㎡」という数値が出た場合、これはいったい何を指す数値でしょう。
これは、床面積1㎡につき1㎠の見えない隙間がこの家のどこかにあるということです。
ですから132㎡のこの家には、132㎠の隙間があるということになります。
これが材料の継ぎ目やサッシの隙間だったりするわけです。
この数値は、およそはがき1枚分の隙間です。
これを、C値=1.0㎠/㎡と呼びます。
これを基準に考えると、同じ間取りでC値=2.0㎠/㎡だと、はがき2枚分、C値=0.5㎠/㎡だと、はがき半分の隙間が点在するということになります。
住宅メーカーなどは、この数値にかなりこだわりがあるようですが、少しイメージしていただければ理解できると思いますが、このはがき2枚分の隙間が点在する家と、はがき半分の隙間が点在する家、暖かさや寒さに極端な差があると思いますか?
実はほとんどありません。
気密性能と断熱性能とは全く別のものです。
無関係ではありませんが、家の暖かさや寒さは、気密性能がある一定の基準に達すると、断熱性能によって大きく左右されます。
気密測定ってホントに必要?
この気密測定というのは、だれが行うのでしょう?
大半は取引先の民間企業が行います。
要するに、依頼者側の都合のいい測定をするということです。
気密測定で塞いでいい場所は、給気口、換気扇のダクト、設備機器の排水口のみです。
しかし、実際に測定が始まると、ユニットバスのドア付近や、引違サッシ付近から、ものすごい空気が流れ込んできます。
そこで、す~す~する部分をどんどんテープで塞いでいき、納得のいくまで何度も測定をして、一定の数値を確保していきます。
これって、テープ処理によるデータ改ざんじゃないの?
また、仮に室内は適切な気密処理が行われていたとしても、壁の中の空気のコントロールができていない状態であれば、この気密測定は何の意味もありません。
要は、メーカーが出している数値にばかりこだわりすぎていては、高気密・高断熱の本質を見失うというこうです。
Passive life japan